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2010年12月27日月曜日

遥かなるヴェネチア。カルチョの国で、見果てぬ夢を

【今日の一言】
また行こうっと。



前回のブログの記事で、前に書いていたブログを紹介しました。
何人かの方から【続きを読む】のリンクへ飛べない、というご指摘を受けましたので
いくつか自分で見繕って現在のメインブログに転載していきたいと思います。

先ずは、4年前の夏、家族でイタリア旅行をしたときの旅行記から掲載します。題して

【遙かなるヴェネチア。カルチョの国で、見果てぬ夢を】

8月の上旬、イタリアに行った。

飛行機で北極圏を通りアルプス超をしてミラノに入った。

ミラノでは、ドゥオーモを正面に見るクラシカルなホテルに一泊。次の日にはユーロスターでヴェネチアに移動。その後、フィレンツェ、ローマと訪れた。

今日お話するのは、ヴェニスに滞在して3日目の夕方の出来事だ。





宿泊していたホテルの前は、大運河。河岸に立つと、向こうに、夕日に染まる教会の大きなドームが見える。運河は夏の夕日を斜めに照り返し、キラリキラリと輝き返してくる。

時が止まる瞬間とは、こういうことだろう。神様が微笑んでいるような景色だった。

夕食まではまだ時間があり、のんびり運河でも眺めながら、テラスでアイスティーでも飲もうとホテルの部屋から出てきたのだが、その時間に眺めた教会があまりにも美しく、渡し舟に乗って礼拝に行くことにした。

手漕ぎの舟に乗ると、また新しい景色が見えてくる。夏のヴェネチアの夕日が運河に映り、河の中の光は渡し舟と太陽を結ぶ光る道になる。太陽まで歩いていけるような錯覚に、一瞬とらわれる。

時間にして数分。太陽の光を空と河に残して、舟は対岸に到着する。

教会の前には、たくさんの旅人が、石畳や階段に座って、話をしたり、川面を見つめたりして、至福の時間を過ごしていた。私も、彼らも時を忘れながらも、時を惜しむ旅人の一人だ。

教会の中に入った。ほんの少しだけ湿り気のある空気の中に、静謐が溢れていた。聖水をつけた右手で十字を切り、神に感謝をささげる。私はキリスト教徒ではないが、神に世界の平和を願う気持ちは、届くと信じる。

祈りを終えた後、壁画や彫刻を鑑賞していると、後から声を掛けてくる人がいる。振り向くとイタリア人であろう。17,8歳くらいの少年が立っていた。金色の髪を短くカットし、茶色の目で、僕を見つめている。その目は、「どうしても知りたいことがある」、と言っているようだ。セリエAのACミランのロゴが入ったタンクトップからは、筋肉質の長く伸びた腕が、彼がスポーツマンであることを告げていた。




身振り手振りで、質問してくる。イタリア訛りの英語だ。僕はもともとろくに英語は喋れないので何を言っているのかよくわからなかったが、どうやら、僕の着ていた服のことを質問しているらしかった。

その時僕は、ザスパ草津のレプリカユニフォームを着ていた。彼は、そのユニフォームについて質問してきたのだ。

「それは、日本のフットボールチームのレプリカか?」
「ああ、そうだよ。J2だけどね。こっちでいうセリエBだよ」
どこまで通じたか、わからないが、僕も必死で日本語訛りの英語で返事した。何しろ大好きなザスパ草津のことを、カルチョの本場で宣伝できるのだ。

「ザスパ草津っていう名前なんだ。草津にはホットスプリングがあるんだぜ」

今思えば、伝えたいことがいっぱいあって、コメントが整理できていない。草津のことが伝えたいのか、チームのことが伝えたいのか。しかし、僕のそのコメントに対して彼は
「ああ、そのチームなら知ってるよ」と答えた。
それは嘘だろ、気を使わなくってもいいよ、と思ったが嬉しかった。何だかお互いに気持ちが触れ合った気がして、お互いの着ているものを交換しよう、ということになった。

僕には、ACミランのタンクトップは少し大きかったが、なかなかカッコよかった。と、そこへ、教会の人が向こうから急ぎ足でやってきて、壁に書いてある説明を指さして僕に何か注意しはじめた。

しまった。教会の中では、肩のでる服はNGなのだ。彼と交換したタンクトップも当然ダメ。僕は、もう少し彼と話したかったが、教会から出るしかなかった。

さて、この話はこれで終わり。

僕は、渡し舟で元の岸に戻り、まだ夕日が当たるサンマルコ広場のカフェで「旅情」のキャサリンヘップバーンのようにカフェオレを飲んだ。
そして、いつか、ACミランとザスパ草津が、世界クラブ選手権の優勝カップを争う日が来ることを、まだ透き通るような天空の青い空となんとも言われない夕日の赤を眺めながら、夢見ていた。

陣内 秀信¥ 1,000

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